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読書「僕らはそれに抵抗できない『依存症ビジネス』のつくられかた」アダム・オルター

駅の改札を抜ける時、前の人のスイカ残高が見える件。上限の2万円近く入ってる人がいたらグッときます。顔見ちゃう

 

ほいで

 

今回紹介する本は「僕らはそれに抵抗できない『依存症ビジネス』のつくられかた」アダム・オルター

おすすめ度 ☆☆☆☆☆(5段階中5)

 

最近読み漁っているスマホ、ゲーム、SNS、インターネット依存系の類ですが、ダントツに怖かったです。前述した依存症はそれぞれ個別に取り上げられる事が多いですし、それだけ一つの内容が濃いですが、本書は人間の脳の仕組みに焦点をあてて「依存症とは何か?どういった状態か?」といった根本から論じられています。

まず冒頭の方で登場する「自分の商品でハイになるな」という薬物の売人が使う言葉。

有名な話ですが、事実スティーブ・ジョブスは自分の子供にiPadを使わせていない事。また他のIT業界の大物達も自分達が作ったものの威力を知っているからこそ、自分の子供へは厳しい使用制限を課しているそうです。でも自分で作ったゲームに没頭してハイになっちゃた開発者も紹介されています。

 

どこから何をお伝えすればいいのかわからないぐらい、それぞれの章節が事細かくなおかつインパクトが強いのですが、個人的にグッときたところをいくつかご紹介。

 

1つめ

第4章で登場する「目標依存症」という言葉。

初耳すぎて、は?って感じでしたが読んで納得。常に目標を立て続ける事は、常に慢性的な敗北状態にして幸福感が低下するようです。1つの目標が達成されたら次、次、次と延々と続き終わることがなく、成功しても失敗しても出口がないとの事。

目標を持ち続けるのは良いことと漠然と思っていたので、軽い衝撃を受けて頭に新しい神経回路が出来上がった気分になりました。

一応注意として、さらに後半の方で出てきますが「依存症」と「習慣」は紙一重であることと、僕が取り上げたのは一部であり前後の脈絡等も省いていますので、そのまま受け取らないで下さい。

 

2つめ

第5章内で登場する「当たりに偽装したハズレ」について

例えばスロットで1万円負けたら悔しいですが100万賭けて99万当たった場合、音や光の演出等で嬉しくなってしまうとの事。どっちも1万円を失っていることに変わりないのに。これは実際にカジノで使われているテクニックでもあり、パチンコ・パチスロをやった事ある人は心当たり大アリだと思います。

あとは「もう少しで当たりだったのにハズレ」の場合、「かすりもしないハズレ」とハズレという事実は同じにも関わらず、脳が活性化し再度行動に移させるという事。ちゃんと研究で実証されていて、これはスクラッチクジなんかに応用されているそうです。

この辺を読んでる時に冒頭で書いたように恐怖感が湧いてきました。ときには猿やネズミの脳に電気を流す実験も行いながら「脳を操作」する研究がどんどん進んでいる・・・。

ちなみに、とあるうつ病患者の幸福感を司る脳の部位に電気を流したところ、患者は自分でも理由がわからずニコニコして幸せな気分になったとの事。そして実験が終わったあとも電極を繋いでほしいと懇願したという実際にあった怖い話も紹介されています。

 

3つめ

同じく第5章内 「見たいものしか見られない人間、そこにつけ込む胴元」

あるグループを2つに分けて1つには数字の「13」が見えたら当たり。もう一つのグループには英語の「B」が見えたら当たり。という事を伝えて以下の画像をみせると

13ともBとも取れるこの画像を見て、どちらのグループも高確率で「自分は当たった」というそうです。ようは自分に都合のいいようにしか見ない傾向があるそうです。

この単純かつインパクトの強い実験はとてもおもしろかったです。

 

他には

「フロイト、コカインを推奨す」

「10万人の帰還兵からクスリを抜けるか」

「現代の生活を支配する目標という呪い」

「いいね!ボタンにかけられた魔法の秘密」

「なぜあるメロディが頭から離れなくなるのか」

 

等々、一つ一つの内容が濃い。

総じて言えるのは、この本で得られる知識はうまく活用すれば自分を守る盾になりますが、悪用もできかねないレベルの内容だと思いました。どうすれば人間が壊れるかの内容があまりに具体的すぎる・・。

めずらしく満点評価。そして僕の中の再読の価値ありカテゴリーにイン。

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