そうじゃったか。わしはもう歳じゃからの。
等々、「○○じゃ」を使う老人に今まで一度も会ったこと無いですが、ツチノコレベルの伝説の生物なのでしょうか?
ほいで
今回紹介する本は「トマ・ピケティの新・資本論」トマ・ピケティ
おすすめ度 ☆☆☆★★
ブックオフで半額セールで売ってたので勢いで買っちゃいましたが、資本主義とやらに興味があるとはいえ、我ながら何でこんな難しい本を買ってしまったのか、自分にドン引きしました。
本書は著者がフランスの日刊紙であるリベラシオン紙とやらに、連載していたものを和訳したもの。元ネタが日刊紙であるだけに、1項目ずつ独立して読める内容になっています。
ガチガチの経済学者の本は多分初めて読みますし、主にユーロ圏の経済の内容なので馴染みがなく、知らない言葉や知らない人も多く出てきて中々読み進めるのに苦労しました。
何点かグッとキたところを紹介しますと
◇ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズは、相続税廃止に反対している
もう一度書きますが、相続税廃止に反対。
え?と一瞬混乱しますが、彼らは子供達に財産を残すことによって、不労所得者になってほしくないらしいです。一般的に金持ちは自分の子孫に資産を残したがると思っていたので、意外でビックリしました。これが本当に子供の為を思うという事なのかも。
そう考えると、僕は裕福な家庭では無かったし、親の資産なんか無く1ミリも頼れなかったので、おかげさまでしぶとい(捉えようによってはウザい)性格になれたのかなとも思います。
あと、どの国も金持ちや資産家が国を動かしている構図は変わらないようで、税率の掛け方が金持ちに優遇している状態に、経済学者が激オコらしいです。
割と冒頭からヨーロッパの闇の深さを感じさせてくれます。
◇最低賃金引き上げではなく、国が労働者の税金を負担
これは目からウロコでした。
要は最低賃金を引き上げると結局は企業の負担になり、労働時間や人員を減らされる懸念があることに対する政策。これなら企業の負担が増えずに実質の賃上げができるので、雇用問題も改善されるという内容。
とはいえ、この手の問題で出るのは「財源をどうするか」ですが、この場合は労働者の手取りが増えて消費活動が活性化されるため、トータルで見てプラスの影響をもたらすという事でした。
ちなみに僕の故郷、奄美大島はこの最低賃金ピッタリや、残業代や手当が一切出ない等の実質最低賃金割れみたいな仕事が多々あるので、こういった手段が効くなら良いな〜と、とても興味を持ちました。
◇生活保護受給者が就職しても、生活保護の一部を受け続けられるようにする
これも一見「え?」って感じですが、要は働きだしたら生活保護が全額打ち切られるなら、だれも働こうとしないという論理。なるほど〜〜〜
と思いましたが、よくよく考えると働けないから生活保護を受けてるはずなので、矛盾しているかな〜とも。個人的には不正受給者がさらに増えて、本来貰うべき人達に迷惑が掛かるかな〜とも思いました。
この提案含め全体を通してそうなんですが、ヨーロッパと日本って抱えている問題が似ている。
◇銀行の巨利は政治問題である
これは、日本でいうところの各銀行が日銀から金を安く借りて、国民に高く貸しているという構図と同じ状況。金利政策的には一概に間違っているとは言えないけど、銀行が儲かる一方で雇用が回復しないし給料が上がらないのは、やはり問題であると断言しています。
この辺は聖域っぽいですが国がメスを入れていかないと行けない分野だと感じました。
あと、詳細は割愛しますが紹介されていた項目として
・炭素税の謎
・危機で得をするのは誰か
・世論調査を規制せよ
・なぜヨーロッパで債務危機が起きるのか
・ひっそりと沈みゆく大学
等々、身近に感じるものから、ヨーロッパってそんな大変なんだといった物まで、様々な内容が紹介されています。
以上、いつもどおり全体的にまとまりが悪い感じになっちゃいましたが、
世界を知ることで、あらためて自分の国、地方に対する新しい見方を得られる本でございました。