読書

読書『月は無慈悲な夜の女王』ロバート・A・ハインライン

「苦虫を噛み潰したような顔」っていう言葉の、苦虫ってどんな虫だろうと思って調べたら、「噛んだら苦そうな架空の虫」らしいです。虫ってだけで結構キツいと思うけど・・・

 

ほいで

 

今回紹介するのは

『月は無慈悲な夜の女王』ロバート・A・ハインライン

おすすめ度 ☆☆☆☆★

 

あらすじ

地球から植民地化された月の住人達による独立戦争。

もともと月の住人達は、地球から島流しならぬ星流しにされた人と、その子供達。柵のない監獄状態であり、地球政府軍から監視員として何人かが駐在しているのみの場所。

その人達に月で小麦を作らせて地球に安い値段で売らせるという、THE植民地。

しかし、ある日このまま月の資源を地球に送り続けていると、あと8年で月の資源が枯渇し月中の人間が餓死することが判明。そこで不平等な輸出(搾取)を止めるため、月の住人達の自由を勝ち取るために独立戦争を仕掛けるというお話。

 

超天才コンピューター マイク

月の生活インフラ、輸出管理、政府の給料計算、酸素等々をすべて制御している中央コンピューター。それがある日、とんでもない給料計算をした事から故障を疑われて、コンピュータ技師である主人公のマニーが点検に送られる。

そこでマニーが見たものは、意思を持ったコンピューター マイクだった。話してみると間違えた給料計算はマイクなりのジョークだった事が判明。

しかし、何が笑えるジョークで何が笑えないジョークかの判別がついていない事がわかり、マニーは危機を感じます。たとえば、月中の酸素を抜いてみるとか、下水を逆流させるなんてジョークもマイクには可能だからです。

その後「笑えるジョークとは何か」を通じて、この超天才コンピューターマイクとマニーが仲良くなり、独立戦争の大きなカギとなってきます。

 

独特な家族体型

最初読んでいて混乱したのですが、月には夫が何人もいて妻も何人もいるという、言うならば多夫多妻制のような家族体型が一般的なようです。

これは月という過酷な環境では、衣食住全てにおいて繋がりの強いコミュニティを形成する必要がある事から、このような形になったようです。

この設定も架空の話ではあるのですが、生殖・育児・生活基盤確保等の『人類の存亡』視点で、割とかなり理に叶っていると感じました。

 

革命のやり方

これがこの本の一番の本質だと思います。小国が大国に対してどう立ち向かうべきか、また外ではなく国の中をどうコントロールするか。スパイをどう泳がせるか、どうやって機密情報を共有・保護するか。チーム編成はどう作るのが最適か。

時には建前やウソで中枢メンバーをコントロールしたり等、かなり実践的な内容。

それが「地球VS月」というわかりやすい構図なので、理解しやすくなっています。

 

月から隕石を地球に落とす

これはネタバレに近いかもしれませんが、月がもっている兵器がまさかの『石』。これを小麦の輸出に使っている射出機に乗せて、地球に落とすという方法。破壊力は原子爆弾に近く、射程圏内は地球全域というとんでもない兵器。

これを次々と天才コンピューターであるマイクが地球に落としていきます。

 

ちょっと読みづらい

和訳がというか、おそらく著者独特のアメリカン・ジョークだったり、皮肉だったり、執筆当時の時代背景から来たっぽいものが多く、分かりづらかった。一応注釈で説明が入ったりもしていますが、追いついていないかなと。意味のわからない会話が多々ありますが、あまり深く考えずに読み進んだほうが良いです。

 

 

といった感じでございます。

中古の書籍で買うより、電子で買ったほうが安いという珍しいパターンでしたので、購入時は電子をおすすめします。

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