読書

読書「カースト アメリカに渦巻く不満の根源」イザベル・ウィルカーソン 訳=秋元由紀

8時5分前って日本語が、8時になる5分前(7:55)なのか、8時5分になるちょい前(8:02~04)ナノカワカラナイ。

 

ほいで

 

今回紹介する本は「カースト アメリカに渦巻く不満の根源 」イザベル・ウィルカーソン 訳=秋元由紀

評価 ☆☆☆☆★

リアル天竜人。「白人が」自由の国アメリカ

この本では黒人が受けた差別、暴力、リンチが100年以上昔のから、2020年まで実際に起きた事件を数多く紹介しています。

たまにニュースで黒人差別関連が流れるのを見る程度で、あまり深く知りませんでしたが、この本を読むことでアメリカにおける黒人差別がどれだけ根深い問題なのか、どれだけフザけた事をやってきた、やっているのか、知識を深めることができました。

ちなみに黒人差別のさらに根幹にカースト制度があると本書では解説されておりますが、わかりやすくするためにあえて黒人差別という言葉を使わせて頂きます。

 

実例を何点かご紹介しますと

 

1つ目

奴隷制度全盛期の頃、黒人は物として扱われており、オークション等で売買されていました。親や子供から無理矢理引き離されてオリに入れられ、商品価値が下がるからと泣くことも許されず、笑顔をつくり、自分が売れる為に努力をしいられる。逆らえば拷問がまっていて、死ぬ事さえもある。逃げることも戦う事もできずに、ただ言われたとおりにするしか生きるすべがない状態。

と、よく知られている奴隷制度の典型パターンの詳細が本書に書かれています。

 

2つ目

子供が受けた差別で読んでいてキツかったのが、奴隷制度が廃止されたわりと現代の話。

とある少年野球チームが優勝したお祝いに公共プールに遊びに行ったときに、チームメイトに黒人の子がいて、その子だけプールの監視員に入水を拒否された事件。要は黒人が入ると水が汚れるという事らしいです。黒人の親達は自分の子供達に、自分達が置かれている状況を説明するタイミングに悩まされているらしいですが、その子は黒人差別の事をその事件を通じてはじめて感じ、知り、それ以降人が変わってしまったとのこと。

ちなみに黒人もプールに入れるように法律が改正されると、黒人をプールに入れたくないあまり、コンクリートで埋めた州もあったそうです。

 

3つ目

黒人男性が自分のアパートのエレベーターに乗っていると、白人女性が「ここで何をしているのですか?」と質問。自分の家に帰りますというと、白人女性は確かめる為にその黒人男性が部屋に入るまで尾行し、入ったあともしばらく外で監視していたとのこと。

っていう事が日時茶飯事らしい。

 

4つ目

帝王切開の技術は、黒人女性に対し麻酔無しで人体実験を繰り返した結果出来た技術らしいです。

腹をさいた医者は真っ赤な臓物をこねくり回しながら、自分と全く同じ人間だ!とは感じなかったのでしょうか?

ナチスドイツもアメリカの黒人支配を参考にした

ヒトラー率いるナチスドイツは、ユダヤ人を大量虐殺したことで有名ですが、驚くことに、いかにユダヤ人を差別し駆逐していくかを、アメリカの黒人差別の実例をもとに研究したそうです。

どうすればユダヤ人を殺しても正当化することができるのか、どうすればユダヤ人の力を奪うことができるのか。

まさに負の連鎖、悪の伝搬が起こった事実も詳しく紹介されています。

オバマ大統領誕生がもたらした白人至上主義者達のヒステリック、トランプ大統領の誕生。

黒人の権利が徐々に認められ、アメリカにおける大きな転換期であるオバマ大統領の当選。これに白人至上主義達は「国が黒人に乗っ取られる」「白人の立場が下がる」等のヒステリック、まさに病気を発症。特に貧困層の白人達は「自分は白人である」という唯一の取り柄(と勘違いしているもの)さえも無くなってしまうと絶望。

そこで大統領選に出てきたトランプ。

まさか誰も当選するとは思いませんでしたが、まさかのまさか。アメリカにおける黒人・移民差別意識がハッキリ可視化してしまったある意味大事件。

この件に関するアメリカ国内の内情もとても興味深いです。

その他私見

かなり分厚い本、内容も痛ましく読み進めるのに根気が必要。
トランプ大統領当選に関して

ここらへんに関しては黒人・移民差別だけでは説明できていないと感じました。ケンブリッジ・アナリティカとかいう組織がSNSを使った大規模な投票操作の影響がデカかったはず。

詳細は割愛しますが、そっちのロジックのほうがしっくりきます。

極端に黒人寄りすぎるかも

どれだけ黒人が蹂躙されてきたか、今現在されているかについては多く書かれており、それだけの怒り、悲しみはどれだけの事をもってしても償うことはできないとは思います。しかし、白人の立場でありながらも奴隷解放、黒人差別、移民差別反対に尽力した人達の紹介の割合が少なく感じ、逆に白人に対する偏見、差別を生みかねないかなと感じました。

実際白人によるアジア人に対する差別もあるので、ちょっと怖さが増してしまいました。

他人事ではない

自分自身ハーフや外国人の方に対して、本当にフラットに同じ目線で対応できているのか不安になりました。無意識の色眼鏡で見ていないか、意図せず嫌な思いをさせていないか、自分は差別とは無縁と思っていますが本書を読んで色々と考えさせられました。

また

正社員、契約社員、パート等で同じ業務をさせながら、ラベリングで給料や発言力が決まってしまうのも一種のカースト制度。(業務内容によりますが)

そういったカーストがもたらす害悪や害悪や害悪が学べます。

 

とても素晴らしい本でした。

以上

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