読書

読書「雨の降る日曜は幸福について考えよう」橘玲

羽田空港オシャレ優先すぎて、迷路すぎるし案内表示無さすぎる。遺憾の意を表します。成田を見習って頂きたい

 

ほいで

 

今回紹介する本は「雨の降る日曜は幸福について考えよう」橘玲

評価 ☆☆☆☆★

超合理的に幸せを考える本

個人的にこの著者が好きで執筆されたものをほぼほぼ読んでおり、今回手に取ったこの本も非常に楽しく読ませて頂きました。

本書では「人生設計」「生命保険」「年金」「医療」「教育」「不動産」「資産運用」「市場経済」という、身近かつ避けては通れない重要な問題に対して、何が問題でどういったアプローチがあるのかを論じています。

合理的すぎるがゆえに、道徳的にどうなの?それ言っちゃって良いの?と言った批判が多くあるようですが、フワッとした余計なノイズを排除して、あるそのままを教えてくれるので、とてもわかり易くタメになります。

グッときた節を何点か紹介

人間よりも動物病院が豪華な理由

個人的にずっと思っていた事ですが、なぜ病院は過酷な仕事なのに賃金が安いままなんだろうと。著者は大きな理由として「自由競争」が働いていないからだと言います。一般的な会社は利益を得るために設備を良くし、優秀な人員を確保して、離職しないように待遇を良くして売上を得ようとしますが、病院でそれをやると医療費が上がり国の財政を圧迫してしまうからできないとの事。要は競争より平等を優先してしまうため、質が上がらないという話し。ただ完全に自由競争にしてしまうと、貧しい人はいい治療を受けられなくなり、命の不平等が生じてしまうというジレンマが発生。

いかに最低限の保証を確保しつつ自由競争にもっていくかが課題だと感じました。

また、日本では暇な人ほど良い病院に行って何時間でも待つことができるので、それはお金の有無じゃなくて時間の有無による不平等が発生しているとも書いていて納得。

人生最後の数日で医療保険は破綻する

人は一生のうちに使う医療費を死ぬまでの数日間で使うらしいです。終末医療としてその額は一ヶ月あたり100万円以上かかるとの事ですが高額医療費にあたるため、仮に4000万円掛かったとしても自己負担は46万円との事。アメリカでは国が運営する健康保険は無く、民間保険会社だけで医療保険を運営していますが、過度な延命を抑制したり患者の自宅に行ってケアをする等して医療費を抑えているらしいです。

この「過度な延命」に対する経済からの視点は莫大な税金を投入している以上、今後重要な課題になってくると思います。あと僕個人としても願わくば最後はキリ良く死にたいと思っていて、人工呼吸器をつけた植物人間状態で、ただただ税金をたっぷり使って生きるのは嫌だなと思っています。※あくまで僕個人の死生観

公立学校は警察のない社会

いじめ1つにしても、私立学校は加害者側を退学させればいいだけで、公立学校は被害者側が学校に来れなくなるという構造の欠陥状態。著者の知人が荒れた公立学校の教師をやっていたらしいのですが、その知人いわく「自分の職場は教育機関ではなく、生徒の収容施設」と言っていたとの事。昔は公立学校では体罰教師が治安維持をしていましたが、昨今はそれが問題になりできないので、著者は公立学校は警察のいない社会と表現しています。

まぁ〜そもそも学校の存在意義すら昨今怪しいと思っているので、私立か公立かの2択以外の選択肢が出てくれると、さらに生きやすく才能を活かせる世の中になるかも。

橘さん、あなたは誰ですか

これは著者に頻繁に寄せられる質問らしく、それについて回答。「自分の知らない人が私のことを知っている」という不条理な世界が気味悪い。プライバシーというのは、いったん失えば二度と取り戻すことはできないという際立った特徴をもつ、貴重かつ希少な資産だ。

これには激しく共感。僕が感じてたことを完璧に文字にしてくれた感。お互いが相手を知った上で意見を交わしたり、批判したりするのには何の抵抗もありませんが、顔伏せ匿名で一方的にあれこれ探ってきたり、雑な言葉で罵ったりされるのは本当に気味が悪い。

また、臆せずプライバシーをさらけ出している人達は、情報や人の取捨選択が上手で、そういう才能がある人なんだと思っています。僕にはハードルが高い。

 

反対意見をもったところ

財政再建は覚醒剤合法化で

ドラッグや売春などの非合法ビジネスを合法化して、しっかり税金を徴収する仕組みにするべきだとの意見。さすがにこれは暴論だと思いました。目先の財政赤字を解決するためだけであり、長期的には不幸になる人を増やしてマイナスになると思います。

さらに国外から、とんでもない量の薬物と薬物依存者が流入してくるのも避けられなくなるのが目に見えています。

個人的にこの手の問題が出る時に、例えば「パチンコよりはカジノが良いからドンドン作りましょう」とか、「タバコより害が無いから大麻を合法化しよう」とかいう意見があったりしますが、僕から言わせたらどっちも有害だからどっちも規制すべきとしか思いません。後者に関しては医療用として使用するものだけで十分。

所得税は憲法違反である

これは収入によって所得税が変わるのは人権侵害であるという意見。これについてもかなり暴論だと思って、あれ?橘さんってこんな事言う人だっけ?と頭を抱えました。本が売れるためのパフォーマンスなのかな。。。

著者は税金は一律一人200万円を払うべきだとおっしゃっています。しかしこれは、人間一人一人がすべて同じ環境、境遇、能力をもっている事が前提であり、そんなのはありえないことです。

たとえばコンビニのバイトでも東京都と田舎の給料は違うし、家が元々貧乏な人は払える学費に限界があったりして教育の質が低下し、結果良い会社には入りづらかったりします。さらには知能や運動能力もほぼ遺伝で決まってきたりするので、そもそも「世界は不平等である」という現実を無視していると思います。

やはり原則として稼ぐ人から多く徴収するのは、仕方がないと思います。

ただ、額や徴収の仕方の方は改善するべき事はあると思っていて「所得課税」よりも「資産課税」や「相続税のさらなる増税」にシフトした方が働く意欲を失わないし、何の努力もせずに親の資産遺産だけで悠々自適に暮らしてるぜぃ〜という不平等を無くせると思います。

 

以上。自分でひくぐらい長文になっちゃいました。

この人の話すお金の話は本当に面白い。

コメントを残す