島の個人商店に売ってるオニギリ最強説。安くてうまい。くいて〜
ほいで
今回紹介する本は「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介
評価 ☆☆☆☆☆ (5段階中5)
目次
おじいちゃんをいかに弱体化させるかという孫の努力
高齢で自由に動くこともできなくなり、毎日「自分なんか死んだらええ」と自暴自棄になっている要介護のおじいちゃん。その面倒見をまかせられている無職で就活中の孫。
2時間おきにおじいちゃんのつく杖の音で起こされて睡眠が常時浅くなるし、毎回毎回「死にたい、死んだらええ」と繰り返すおじいちゃんの世話をするうちに、家族全員が憂鬱で険悪な状態。
そこで孫は、いかに楽に死んでもらうかに焦点をあてて行動を開始する。
あくまで法律に触れないようにするために考えだした方法は、徹底的にお世話をして考える力と筋力を奪うというもの。笑
はたから見たら熱心な介護ですが、たしかに孫の考えた通り。ただし中途半端にやってしまうと、死ぬこともできずに介護の負担が増すという地獄がまっているので、徹底しておじいちゃんのお世話をする姿が滑稽で笑えました。
安楽死、尊厳死を考えさせてくれる
楽しみも目標なく気力すらないのに生かされるおじいちゃん。一度自殺未遂をしているが懸命な処置の結果生還。死ぬことすらゆるされない。
そんなおじいちゃんを取り巻く周囲の人間の憂鬱。
もちろん明確な解はありませんが、本書を通じ介護の大変さを疑似体験することによって、今まで以上に考えさせられたり思う事が多々ありました。
私見
量的に読みやすい
文字もそこそこ大きく120ページと量的にもちょうど良く、一瞬で読み終えました。
とはいえ、さすが芥川賞受賞作品。短い言葉でガツンとくるパンチラインが多い。
量より質って感じでとても洗練されていました。
口が悪すぎて笑える
前述のパンチラインに相当するのですが、とにかく口が悪いというか表現が直接的すぎて面白い。グッときたとことを引用しますと
このフロアには、祖父と同じように全身チューブだらけの延命措置を受けている、自然の摂理にまかせていればとっくに死んでいるであろう老人たちの姿しかない。苦しみ耐え抜いた先にも死しか待っていない人たちの切なる願いを健康な者たちは理解しようとせず、苦しくてもそれでも生き続けるほうがいいなどと、人生の先輩に対し紋切り型のセリフを言うしか能がない。
手をさしのべず根気強く見守る介護は、手を差し伸べる介護よりよほど消耗する。要介護三を五にするための介護。介護等級が上がれば、国や自治体から施設側へ支給される金の額も上がる。
その後、祖父が思い出せるはずもない質問を、健斗(孫)はいくつも続けた。記憶を思い出せないという、当事者にとっては最大のストレスを与え脳や体を萎縮させることで、究極の尊厳死へ全身全霊で向かわせる。
とてもおもしろかったです。(小学校低学年風)
読書家ですね^_^
スウィフトのガリバー旅行記に出てくる老不死の住人は快哉を叫ぶのでしょうか。。。
釣りができない分、捗っています。笑
ガリバー旅行記は読んだことありませんが、個人的な意見としては老不死むしろ地獄なのではと思ったりします。
不死ではなく不老だけなら最高ですね〜