無印良品で目にした「奄美風鶏飯」に驚きのあまり店内で失禁してしまいました。
ほいで
今回ご紹介する本は「空飛ぶタイヤ」池井戸潤
めちゃくちゃ面白かった。さすが池井戸潤さん。
本書は実際にあった三菱自動車のリコール隠しをモデルとした、中小トラック運送会社と大企業の戦いを描いた作品。
ある日赤松運送という中小トラック運送会社のトラックのタイヤが、運行中に根本から外れて歩行中の母子に激突。幸いにも子供は軽傷で済みましたが母親は死亡。そのトラックのメーカーは整備不良が原因ということで処理し、すべてをトラック運送会社の責任としますが、真実を追求しようとする社長の執念がジャイアントキルを成し遂げる。
母親が亡くなったことは小説の中での話しであってほしいところですが実話で、一般に「横浜母子3人死傷事故」で知られています。
あくまで実話をモデルにしたフィクションである「ノンフィクションノベル」ですが、ノンフィクションじゃないか?と錯覚するぐらいリアリティ。
暗い大海原に急に放り出されて、希望という名の光を海底に探しに行くような感覚。視界はほぼゼロ、どこが底なのかわからない、どこに光があるのかわからない、確実に減っていく肺の酸素。
ようやく光らしいものが見えて手をのばすとフッと消える。
もうすべてを諦めてしまいたい(死)ところまで追い詰められますが、家族の存在がさらに深みへと行く勇気を与えてくれる。
そしてついに光を手にした瞬間!
電車で本を読んでいた僕は全身に鳥肌が立ち、もう鳥になっちゃってました。
しかし!そこから海面に上がらないといけない。
まぁ〜小説なのでハッピーエンドでしょとは思いつつも、後半の展開には息を飲みました。
てな抽象的な表現でネタバレは避けますが、本書でグッときた言葉は
「名門を汚すのはリコールではない、不正なんだ」と刑事が放った一言
昔の偉い人が言った
「過ちを改めざる。これを過ちという」
これと一緒
会社や人間誰でも失敗や事故はあります。大事なのはその後の対応。
って僕が偉そうに言えた義理ではありませんが、本書を通じて改めて痛感しました。
そして最後に
真実は小説よりも奇でありバッドエンド。モデルとなった運送会社は潰れていますし、運送会社が勝ち取った損害賠償金は弁護士が報酬額として全額総取り。三菱自動車は三菱グループである「三菱重工」「三菱商事」「三菱UFJ銀行」の救済を受けて倒産を免れている。
財閥は小説よりも貴なり
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