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読書「革命前夜」須賀しのぶ

リモートワークにならってリモートホリデーを導入して、勤務中に遊んだり飲んだりするのはどうだろうか。そしたら無給になっちゃう?

 

ほいで

 

今回紹介する本は「革命前夜」須賀しのぶ

評価 ☆☆☆☆☆(5段階中5)

青春&音楽の苦悩や美しさ、共産主義国家とはどういうものかを感じる事ができました。

舞台は第二次世界大戦後に東西に分断されたドイツの、共産主義である東側

主人公は日本から音楽留学でピアノを学びにきた日本人学生

才能ある同級生達と音楽を通して起こる自身の葛藤、相手との対立の中にもある尊敬や敬意といった複雑な気持ちをとても上手に表現されています。

本当にビックリするのが、各登場人物が奏でる音楽を文章で表現しているにも関わらず、あまりにも作者の表現が上手すぎて、その場で耳で聞いているかのような感覚になります。それらの表現を読んで、楽器ってこんなに繊細で深く、個性が出るものだというのは本書を通じて強く感じました。

 

そして当時の東ドイツの閉塞感、シュタージと呼ばれる当局の監視員による検閲や他国へ亡命する者への迫害行為など、実話をもとにしている部分も多々あり生々しく東西ドイツ分断時代の空気感を知る事ができます。作者日本人だよな?当事者のドイツ人?って疑いたくなるぐらい生々しいです。

いい意味でも悪い意味でも平和ボケして自由を持て余しているイチ日本人として、今世界中にいる戦争中や戦後の人達、国から自由を奪われている人達の気持ちに少しだけでも触れられたかなと思います。

そんな時代背景の中で音楽がどう人の心を動かすのか、自由を得ることというのはどれだけの犠牲と意志が必要なのか、暗い部分が多いですが最後まで没入して読むことができる一冊でした。

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