読書の秋とか言いますが、完全に梅雨時期こそ読書に適していると思います。
読書の梅雨。商標登録します。
ほいで
今回紹介する本は「ソクラテスの弁明」著:プラトン 訳:納富信留
おすすめ度 ☆☆☆☆★(5段階中4)
ちょっと僕にはレベルの高い内容で、読み進めるのに根気が必要でした。
哲学界の巨人ソクラテスの裁判応対録
本書はソクラテスを客観的に紹介した本ではなく、ソクラテスが「若者を堕落させた罪」に問われ裁判にかけられた際の議事録的な内容。※著者であり弟子のプラトンの創作的な部分もあるとされる
おそらく相当和訳を頑張ったと思われるのですが、かなり難解。1〜2ページ読み進めるだけでもエネルギーを使いました。
全170ページぐらいあり途中まで読んで、これがあと100ページ近くもあるのか・・・と気が重くなりましたが、後半の方は「裁判の解説」が入ってきており、自分の解釈との答え合わせができました。ただこの解説も結構レベルが高い・・・。
無知の知
ソクラテスは「無知の知」で有名ですが、ざっくりいうと「自分が知らないという事を知っている」という理論武装で、数々の知ったかぶりを論破していくという内容。これにより権力者・知識人を含む数々の人達に恥を欠かせ敵を作った事と、若者がこれを真似しだした事から「若者を堕落させた罪」に問われます。
この裁判でソクラテスがどう対応したのか、群衆心理による死刑を目前に哲学は無力なのか。ソクラテスの漢っぷりに感動します。
グッときたところ
「・・前略・・・死を恐れるということは、皆さん、知恵が無いのにあるとおもいこむ事に他ならないからです。それは、知らない事について知っていると思うことなのですから。死というものを誰一人知らなわいわけですし、死が人間にとってあらゆる『善い』ことのうちで最大のものかもしれないのに。それかどうかも知らないのですから、人々はかえって、最大の悪だとよく知っているつもりで恐れているのです」
人類が避けられない最大の苦しみと思われいている「死」に対して、キリストも釈迦もいない紀元前にこんな事を考えていた事に脱帽。
死を善いものだと考えるのは最大のタブーであり、この考えが有りになっちゃうと現代社会が崩壊するレベルの事。本書とは関係ありませんが、ビートたけしが「死は救い」だと言ってた事を思い出しました。
個人的には『いつかは死んで楽になれる』から辛くても自分の心を大切に生きていこう。ぐらいが落とし所かと考えています。
前述したとおり結構難解で深いので根気が必要。それでも「無知の知」ってなんやねん?と疑問に思ってる方は1度は読んでおいたほうが良い作品です。