読書

読書「サピエンス全史 下巻」

読書ネタ=釣りに行けてない。という事になります。

まぁ〜これも趣味なんで梨寄りの蟻

評価☆☆☆☆☆(MAX)

 

よ〜〜〜〜〜〜やく下巻読破 

※同時進行で別の本を読むのも遅くなる原因

 

前評判、レビューに違わぬ良書でした。「銃・病原菌・鉄」と同じように、複雑なことをわかりやすく説明してくれる点、安直な結論に着地せずにどんどん深掘りしていく知的探究心。痺れます。

今回もグッときた節を丸パクリでUP。

一神教は秩序を説明できるが、悪に当惑してしまう。二元論者は悪を説明できるが、秩序に悩んでしまう。この謎を論理的に解決できる方法が一つだけある。全宇宙を創造した単一の全能の絶対神がいて、その神は悪である。と主張するのだ。だが、そんな信念を抱く気になった人は、史上一人もいない。

〜第12章宗教という超人間的秩序より〜

一神教というのは神は一つという考え。対して2元論者というのは、善の神と悪の神がいるという考え。これを論理的に考えると様々な矛盾が出るという事を説明してくれるんですが、その矛盾を解決するのが『全知全能の悪い神が1つ』ということになると・・・。戦争や貧困はもちろん、病・老・死・苦が無くならない事もこれで説明がついてしまう・・・・。ヒエッ

歴史はいわゆる「二次」のカオス系なのだ。

〜第13章歴史の必然と謎めいた選択より〜

遠くにいる蝶の羽ばたきの風がキッカケでハリケーンを巻き起こす的な、よく知られているカオス理論ですが、歴史についてはさらにそのカオスの結果からカオスが巻き起こっているという主張。さらに政治や市場に関しても2次のカオスであり絶対に予測できないと断言しています。それをふまえて、何故歴史を学ぶのか?については、未来を知るためではなく、多くの可能性があることを理解するためという素敵な結論に至っています。

タスマニア人は読み書きやキリスト教、そして裁縫や農業といったさまざまな「生産的な技能」を教えられた。だが彼らは学ぶ事を拒否した。彼らは次第に塞ぎこむようになり、子供をもうけるのをやめ、生きる意欲をすっかり失い、ついには科学と進歩の近代世界からの唯一の逃げ道、すなわち死を選んだ。

〜第15章科学と帝国の融合より〜

最後の「科学と進歩の近代世界からの唯一の逃げ道、すなわち死を選んだ」の部分が切なすぎる。ヨーロッパから侵略されたタスマニア先住民は「生産的な技能」を望んでいなかったのに押し付けられて苦しんだという内容。生産性とか効率とか知識というのは、決してそれが『幸せ』になるためのものとは限らないというお話。

経済成長は永遠に続くという資本主義の信念は、この宇宙に関して私達がもつほぼすべての知識と矛盾する。獲物となるヒツジの供給が無限に増え続けると信じているオオカミの群れがあったとしたら、愚かとしか言いようがない。

〜第16章拡大するパイという資本主義のマジックより〜

16章のガッツリ経済系の内容はとても面白かったです。著者は「資本主義という宗教」という言葉を使っており、まさにその通りだと思いました。事あるごとに前年〇〇%達成目標!!前年〇〇%削減!!というのを何十年も繰り返すのは、どっぷり宗教に洗脳されているとしか思えないです。これは資本家にとっては信者が増えれば増えるほど好都合であるというのもミソ。一歩引いて見てみると、資本主義という荷車をムチで叩かれながら引きずっているのが多くの人達なのかも。

電球や携帯電話、カメラ、食器洗い機など、かつては想像すらできなかった、気が遠くなるほど多様な品物を生み出している。人類市場初めて、供給が需要を追い越しはじめた。そして、まったく新しい問題が生じた。いったい誰がこれほど多くのものを買うのか。

〜第17章産業の推進力より〜

『供給が需要を追い越しはじめた』。これだけモノが溢れかえっているのに、それでもなおモノを欲する人間。これは前述した資本主義という宗教に取り憑かれているとしか思えない。大量に働かせて、大量に消費させる。資本家(教祖)の思うがままです。ちなみに餓死する人よりも肥満で亡くなる人の方が多いそうです。

何百万年もの進化の過程で、人間はコミュニティに一員として生き、考えるように設計されてきた。ところがわずか二世紀の間に、私達は疎外された個人になった。

〜第18章国家と市場経済がもたらした世界平和より〜

個人主義、自由主義があまりにも重要視されて、本来設計されているコミュニティとして生きる能力が軽視されているという内容と捉えました。ここは言語化が難しいですが、すごくわかる。生きていく上で自分一人の力という無力さといったらありゃしない。

もしあなたが5000年前の小さな村落で暮らす18歳の青年だったら、自分はなかなか器量が良いと思っていただろう。というのも、村には他に男性が50人ほどしかおらず、その大半は年老いて傷跡や皺の刻まれた人たちか、まだほんの子供だったからだ。だが、あなたが現代のティーンエイジャーだとしたら、自分に満足できない可能性がはるかに高い。同じ学校の生徒は醜い連中だったとしても、あなたの比較対象は彼らではなく、テレビやフェイスブックや巨大な屋外広告で四六時中目にする映画スターや運動選手、スーパーモデルだからだ。

〜第19章文明は人間を幸福にしたのかより〜

まさに同感。井の中蛙というのは悪い意味で使う事が多いですが、現代は無理やり井の中から引っ張り出される事だらけ。別に大海を目指さなくても幸せにやっていけるのに、大海が井の中に流れ込んで水没させようとしてくる。ほんと怖い世の中。

 

 

以上。

他にもグッとポイントは多くありますが、長〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜くなるのでこのへんで。

これはオススメ本

POSTED COMMENT

  1. 磯貝龍太 より:

    確かに名著。
    ハラリの特徴は、メタファーやシネクドキを多用した修辞ですね…フーコーとはまた違った趣きで修辞学のバイブルかな。

  2. turinchu より:

    むむ、メタファー、、シネクドキ、、、ほんと同感です。(←わかってない)

  3. 磯貝龍太 より:

    意味はChat GPTでお調べいただくとして、そんな難しいお話ではありません。
    少し古い話ではありますが、ハラリのこの本が上梓された時、ジャン・ボードリヤールの「消費社会の神話と構造」が上梓された時の熱量を思い出しました。
    両者とも今ではインターネットミームのネタに成り下がってしまいましたが、社会の底辺に積もり行く澱を時々、上手く汲み上げる人がいるんだなぁと。

  4. turinchu より:

    言葉の勉強になりますm(_ _)m
    『消費社会の神話と構造』レビュー等見てみました。とても面白そうですね。
    良い本教えてくれてありがとうございます。

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