今度の台風は奄美の物流・観光に大ダメージを与えそう。加計呂麻とかさらに心配。
ほいで
今回紹介する本は『溶ける』井川意高
おすすめ度 ☆☆☆★★ (気になる方は是非レベル)
桁違い!カジノで総額106億8000万円を失った男
本書の著者である井川意高は、ティッシュの「エリエール」、大人用紙おむつ「アテント」等の商品を製造している大王製紙創業一族の3代目であり元取締役社長。
ギャンブルによる巨額損失と一族経営による欠点・弱点が露呈し、2011年当時かなり騒がれた事件です。この本はTVや新聞等のメディアを信用していない当事者本人が、事の経緯と懺悔を含め直接書き下ろした一冊。
メインのギャンブルはマカオでの「バカラ賭博」。本人いわく運だけが支配する半か丁かの掛けであり、シンプルが故にはまってしまうとのこと。
この意見には僕は否定的で、もし本当にカジノ会社との五分五分の勝負だとしたら、華やかなステージ・そこで働く人の人件費、飲食物や広告費等はどうやって捻出されているのか。どうやってカジノが利益を確実に生み出すのか仕組みは知りませんが、一つ適当に例を出すと、ある日突然道端でバッタリ会った人と、そのへんにたまたま落ちていた正立方体の石の出目で勝負するしか本当の五分五分というのはあり得ないと思います。
私物化!大企業御曹司による自社への巨額借り入れ
単に海外カジノでのギャンブル自体は違法性は無いですし、額の大小も関係ないはず。では結局何が問題だったのか。
自社の子会社から、投資に必要だと嘘をついて金を借りていた事
え?そんなこと可能なの。この辺が創業家一族の力を悪用し子会社に圧力を掛けたということ罪に問われます。ちなみに本人は正式な手続きを踏んで借り入れし帳簿上にも記載しているし、最終的に返済しているから、執行猶予なしの実刑には少し驚いたと書いていますが、まさにそのへんの感覚が狂っていると感じました。一般的な会社員や取締役が、あとで金を返せば大丈夫という感覚で、会社からほいほいと金を借りれるわけがありませんよね。
まさに「同族経営は3代で潰れる」のテンプレート的展開で、先代についてきた社員たちが本当に気の毒。
経営者としては超優秀
東京大学法学部出身であり、子供時代も甘やかされて育ったわけではなく、父親に厳しく育てられた著者。ここらへんは創業一族としてのプレッシャーもあり、一般人には理解のできない苦労・苦悩があったと思います。
そんな中、親の7光ではなく先代・先々代含め計14光と言われないために、仕事には貪欲に取り組む。
とにかく美辞麗句でごまかすのが嫌いで、「コミュニケーションを密にとって協力しあい頑張ります」みたいな事を言う部下には、誰が何をいつどうやってやるか具体的に言わせたとの事。結果として赤字の工場を大幅にプラスに展示させる等、経営者としては超優秀。実際部下たちは取り調べでも仕事に関する事で著者を貶める事は無かったそうです。
何故そこまでギャンブルにつぎ込んだのか
初めは遊び100万円掛けたのが2000万円になったという、これまた典型的なビギナーズラックでハマるパターン。とはいえ、賭場が海外に行かないとないので、物理的に年に数回程度しか行けないですし、数億という金を動かす事も難しい。
しかし最終的には金曜日の夜に飛行機で直行し、ぶっ続けでギャンブルをして月曜には何事もなかったかの用に出勤するという生活を送ります。
これは1つは場所をマカオに絞り、片道6時間あれば行けた事。もう1つはカジノ独特の資金調達の容易さが、ギャンブル熱に油と酸素を供給する事になったそうです。
そのカジノ独特の資金調達の詳細は割愛しますが、サイン一つで数億円をその場で借りることができたそうです。また近くに質屋が数多く点在し、ギャンブラー向けに物を売ってその場で質入れしてもらい金を渡すという力技もあるそうです。
この資金調達のしやすさが理性のブレーキをぶっ壊すのは、パチンコ店内にATMが設置されてるのと同じですね・・・。
あとは本人の徹底的にやる気質がギャンブルに災いしたあたりも、額が違えとそのへんのギャンブル依存症者と全く一緒。
3年2ヶ月の刑務所生活
終章に刑務所生活の事が書かれていますが、著者が収監された栃木県さくら市の「喜連川社会復帰促進センター」は初犯や知能犯が多く、「ヒャッハー!」的な囚人はいなかったそうです。あれ?ホリエモンは何で長野刑務所だったの・・・?
基本的に自分の罪と向き合い反省の日々を送りますが、どうしても食事だけが許せなかったようです。書いてあるところによると、民間企業が食事を作っているのですが、囚人が苦情を言いづらい事を良いことに、コスト削減を重視して緑色のレバーを出すなど激マズだったとの事。これは囚人としての意見でもありますが、経営者目線としてエンドユーザーの事を考えていないと苦言を呈していました。
食事代も税金だし、犯罪者ごときが美味しいもの食えると思うな。という声も出そうですが、この辺はホリエモンの獄中記の内容含め色々と問題点多そうですね。
といったところで、長くなっちゃいましたが以上。
カジノやってみて〜と思ってる人は一度は読んだほうがいいです。